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プログレ対談!植松伸夫(作曲家)× 岩本晃市郎(雑誌「ストレンジ・デイズ」編集長)前編

2011年7月7日更新

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日本各地で野外フェスが開催されるこの季節。数あるフェスの中でも、日本一来場者の平均年齢が高いフェス(!)として異彩を放つプログレッシヴ・ロック・フェスティバルの開催が今年も決定!ということで、魅惑のプログレへの入り口をご用意しました!これを読めばきっとアナタも禁断の扉を開くこと間違いなし!

プログレ対談!植松伸夫(作曲家)× 岩本晃市郎(雑誌「ストレンジ・デイズ」編集長)前編

ー 今回は、魅惑のプログレの扉を開きたいと思っている音楽ファンの背中をグッと押すようなお話をしていただきたいなぁと思ってるんですけど、よろしくお願いします!

岩本(以下岩):僕と植松さんはプログレの好きな部分が似てるんですよ。

ー それはジャンルとしてですか?

植松(以下植):世代じゃないですかね。僕の方がちょっと上なんですけどプログレが出始めたころから現役なんで、ねぇ?

岩:あとはプログレの捉え方かな。アヴァンギャルドじゃない、メロディを主体にした方が好きですね。

植:たぶん岩本さんもそうだと思うんですけど、わけのわからないものよりはきれいな音楽が好きですよね。例えばディストーションの歪んだ音かもしれないけどちゃんと構築されてて形になってるものが好きですね。フリーに、ジャズっぽく流れていくものより形になってるものの方が僕は好きです。僕らはプログレが出始めた頃に聴いてるので、プログレって何だろうっていう聴き方はしなかったんですね。育っていくのと同じようにプログレが海外から入ってきて、洋楽の1つとしか捉えてなかったので、カーペンターズとイエスとかは最初、同じ聴き方をしてるんですよ。でもサイモン&ガーファンクルとかカーペンターズに比べたらキング・クリムゾンとかピンク・フロイドってちょっとわかりにくいなぁ、でもイギリスとかではすごい流行ってるみたいだし、もう1回LP聴いてみよう、なんとなくいいような気がする、もう1回…って聴いていくうちにワーっと感動の波が訪れるわけですよ。あれを1回覚えちゃうとエルトン・ジョンとかカーペンターズとかでは満足できない(笑)いや、もちろんそういう音楽もいいんですけど。

岩:なるほど。

植:短編小説というよりは私小説ですよね。クラシックで言うと「くるみ割り人形」がカーペンターズだとしたら、シンフォニーみたいな交響曲がこういう音楽なんですかね。聴いてるうちにウォーっていう。

ー その瞬間を見つけるとハマっちゃいます?

植:1回味わっちゃうと、今52歳になるんですけど(笑)未だに追いかけ続けちゃうっていう。

岩:70年代の音楽全般に言えることなんですけど、ロックの歴史を考えてみると名盤と言われるものはその時代に固まってるんです。僕たちの世代は聴くもの聴くものが裏切られてないんですよ。当時LPって高価なものでそんなに多くは買えなかったけど、誰かが持ってるのを聴いたり、ラジオで聴いたり、とにかく聴くもの全部がいい時代。5年くらいの短い間にグッと固まってるんですよね。

植:奇跡の5年間ですよ。今この歳になって音楽やってて、今聴いてもこの5年の間に出たプログレの音楽って、音楽屋さんから見てもやっぱ素晴らしいものが多い。この時代は本当に奇跡の数年間だったと思う。

ビートルズがみんなにヒントを与えた

ー その奇跡の5年が起こったきっかけは何だったんですか?

植:それはたぶん、ビートルズが解散する直前に、実験的な音楽をロックに持ち込んだっていうのが大きいと僕は思うんですけど。

岩:そうですね。間違いないです。

植:ああ、ロックにストリングスが入ってもいいんだ、レゲエが入ってもいいんだっていう前例をビートルズが作ってるので、じゃあ俺らも!って言ってたぶん雨後のタケノコのように出たんじゃないでしょうかね。

岩:ビートルズが69年に発表した『アビイ・ロード』っていうアルバムはロックがプログレになっていくであろうプロトタイプだったんですよ。だからビートルズが解散せずにもっと存続して次にレコーディングしてたら、もっとシンフォニックでプログレ寄りのアルバムを作ってたかもしれない。

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『アビイ・ロード』 ザ・ビートルズ
69年にリリース。12作目のオリジナル・アルバムにして事実上、ビートルズのラストアルバム。


植:そうかもしれない。僕もそう思う。

岩:あのアルバムでみんなにヒントを与えちゃった。それで、ビートルズがいなくなったから次にそれをやるとしたらどうなるのかみんな考えて、70年代に入っていくときにプログレをプログレだという意識がなく聴いて、植松さんも言ってたけど、すごくきれいな音楽だなと思ったんですね。だから本当に耳から入っていった。そういうバンドが毎回毎回出すものがハズレがない、裏切られない3、4年間が続いちゃったもんだから、どうしようもなくなっちゃった。

植:あんな時代って他にないんじゃないだろうかって思うくらい凝縮された数年間ですよね。でも、プログレだけじゃなくて名盤って70年代前半にまとまってません?ロック系って。ハードロックとか、アメリカン・ロックにしても70年代っていいものが多いですよね。

岩:そうですね。ジャズの世界もそうで、マイルス・デイヴィスがやったジャズ・ロックも基本的にプログレなんですよ。それをロックサイドからやったのがプログレッシブ・ロックで、ジャズサイドからやるとジャズ・ロックになる。プログレっていうのはロックサイドからのフュージョンなんですよね。あんまり変わらないですよ。リターン・トゥ・フォーエヴァーとイエスってよく考えたらあんまり変わらないですよね。

植:そうですね。ただ、やっぱりメロディがロックにはちゃんとあったんですよね。フュージョンはスリリングなプレイ、演奏に重きが置かれたけど、ロックの方がわかりやすいメロディが多かったと思いますね。でも、ミュージシャンもフュージョン側とロック側とけっこう行ったり来たりしてましたよね?

岩:してましたよ。確かに。

植:EL&Pの「タルカス」のドドドドドドっていう4度で動いていくイントロあるじゃないですか。キース・エマーソンが始めたんですけど、ちょうどチック・コリアが始めたころなんですよ。で、当時キース・エマーソンがライヴやるとチック・コリアが見に来てるんですって。でキース・エマーソンもチック・コリアを見に行ってるんですよ。だからちょうど、2人のキーボードプレイヤーが4度の和声での音楽を始めた時期なんですよね。おもしろい時代ですよね。

《2/4ページ:衝撃的!プログレ原体験》

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